当会について

主な活動

福島第一原子力発電所事故で全村避難となった飯舘村を中心に活動しています。村での生活の再生を目指す村民とともにボランティア・専門家が協働して村での生活と産業の再生を目指して、そのために必要な各種の活動を行っています。

1.住む場所を安全にする試み

居宅の測定

飯舘村村内の個人宅の線量を測定しています。環境省による居宅の除染前に測定したお宅は、除染後に効果を確認するため再度測定を行っています。佐須地域を中心に35件(2015年8月現在)の測定を実施しました。

空気中に含まれる放射性セシウムの測定

村内2か所(佐須と伊丹沢)にエアロゾル装置を設置して空気中に含まれる放射能を測定しています。この測定結果から、飯舘村の空気を吸い込むことによる内部被ばくは、年間1.42μ㏜以下と推定できます。(国立環境研究所との共同事業)

溜池の測定

村内の溜池の水や底の土に含まれる放射性セシウムの濃度を測定しました。

山林や住居の除染

2011年から2013年にかけて佐須地区や比曽地区の居宅やその周辺のイグネの除染実験を実施しました。

飯舘村の木材・石材・土を使って実験小屋を建てる

飯舘村産の木材や石材・土をつかって実験小屋を組立て、遮蔽効果の測定をしています。また木材については、そこに含まれる放射性セシウム量と、それを使った板壁からの放射線量を測定しています。

DISの測定

一軒の家を中心にその生活圏の代表的な場所を選び(居間・寝室・庭・駐車場・田畑・イグネなど)、個人積算線量計(Direct Ion Storage)を一定期間(7日間程度)設置して、その場所で浴びる放射性セシウム量を測定しています。また色々な生活パターンの方にDISを携行してもらい個人ごとの積算線量を測定しています。(KEKとの共同事業)

全村空間線量測定エアロゾルDISの測定

2.安全な食べ物を作る試み

農地を取り戻す除染法の実証的開発

村民が自分でできる除染方法の開発を行っています。 水田に水を引き込み、浅く代掻きして表面の土壌のみを水の中に巻き上げ、これを洗い流すという方法を開発しました(TVなどの報道では「田車除染」と呼ばれています)。 洗い流した土壌は穴に埋め、上から汚染されていない土壌で覆う。除染から汚染土処分までの一連の工法を「までい工法」と名付けました。 また埋めた土壌に含まれた放射能の動きを継続的に測定しています。

イネの試験栽培

村内の水田を独自に除染し、2012年からイネの試験栽培を継続して行っています。 2014年度・2015年度に試験栽培した米についてJAそうまで全袋検査しました。その結果、全袋が検出限界値を下回りました。

*イネの栽培試験結果の詳細は、ふくしま再生の会の論文として、RADIOISOTOPES誌に採択、公開されています。
 » 飯舘村除染圃場で試験栽培した水稲の放射性セシウム濃度

ビニールハウスによる点滴型養液栽培

放射性セシウムを含んだ土壌を使わない農業の可能性を実証するため、ビニールハウスの中で軽石を培地として養液を滴下するという栽培技術の実験を行っています。NPO都市農村交流推進センターとの協力事業

各種作物の試験栽培

イネの他、大豆、蕎麦、サツマイモなどを試験栽培し、品種や部位ごとに土壌から作物に移行する放射性セシウムの量を測定しています。

「までい工法」イネの試験栽培各種作物の試験栽培各種作物の試験栽培:そば各種作物の試験栽培:大豆

3.動植物の状況をつかむ

野草と苔

村内各所で野草や苔を採取して含まれる放射性セシウム濃度を測定しています。野草の種類と生えている場所によって異なります。測定結果はデータベース化しています。

野生動物

避難地域では野生生物の活動が活発化しています。中でもイノシシは人との関わりも深く、モニタリング指標として重要な野生動物ですので定期的にイノシシを捕獲し、解剖して部位ごとの放射能を測定しています。

樹木

除染により伐採された樹木などについて放射性セシウム濃度を測定しています。濃度は樹木の場所、木の種類などによって異なります。木部の放射性セシウム濃度は、周辺が高いものと、中心が高いものがあります。

4.地域の放射線・放射能の状況をつかむ

全村の放射線測定

ボランティアによる測定と飯舘村委託による村民との協働測定をそれぞれ月に1度おこなっています。測定結果はホームページで随時公表しています。
» モニタリング情報

放射線の測定には2台の測定専用車を利用しており、この測定専用車はKEKより提供を受けた高感度の放射線測定器を備えています。

飯舘村村内放射線モニタリング事業(飯舘村委託事業)

飯舘村の20行政区ごとに、それぞれの住民が再生の会の運用管理のもと測定専用車を使って、道路上の空間線量を毎月測定しています。これは飯舘村からの受託事業です。測定結果は、村民に配布されたタブレット端末で見られる他、インターネットでも公開されており、また印刷物としても配布されています。

固定モニタによる空間線量推移

飯舘村の村内および南相馬市の合計7か所に設置された高感度GMモニタで継続的に線量測定しています。そのうち5か所の測定値(毎日更新)は本Webサイトで公開しています。高感度GMモニタはKEKより提供を受けています。

村境線量測定

飯舘村の村境を歩きながらGPS付モニタによって空間線量の測定を行いました。山地における空間線量の貴重なデータが得られただけでなく、村境に築かれた土塁など、飯舘村の歴史と自然に関する興味深い発見もありました。

農地の土壌放射能分析

飯舘村各所の農地の土壌を採取して放射性セシウム濃度を分析しています。佐須地区、二枚橋・須萱地区、関根・松塚地区、比曽地区、小宮地区を中心に採取した土壌サンプルについてデータベース化しています。

各種放射能測定体制

土壌、試験栽培作物、野草・山草、野生動物、水など飯舘村の村内で採取された検体は、東京大学農学部放射性同位元素施設の協力で測定しています。東京大学農学部の職員・学生で組織する「サークルまでい」が当会会員と一緒に検体から測定サンプルを作成する作業を毎週行っています。測定したデータについてデータベース化を行っています。

全村の放射線測定全村の放射線測定飯舘村村内放射線モニタリング事業固定モニタによる空間線量推移

5.電気や熱を確保する

小型水力発電実験

村内の水系を利用し微小(マイクロ)水力発電機の実験を行っています。飯舘村はかつて村内で水力発電を行い村内に電力を供給していました。この水力発電跡地の調査を行い小水力発電実験を行う計画です。

バイオ燃料の利用

エコストーブなど里山の資源を利用した燃料について、放射能を除去しながら利用する可能性を探っています。

太陽光発電とその利用

村内各地の放射線計測器とそのデータ送り出しに必要な電力を太陽光パネルで行っています。

6.健康な生活を支える仕組みを創る

仮設住宅で相談会を開催

松川第一仮設住宅と伊達東仮設住宅で医師・看護師・カウンセラーなどからなるチームが毎月相談会を開いています。同時にマッサージや足湯なども行い好評です。

介護が必要な高齢者のお宅の個別訪問

医師・看護師・ソーシャルワーカー、心理カウンセラー・支援者が在宅訪問介護支援を行っています。

仮設住宅で相談会仮設住宅で相談会

7.生活再生の将来像を一緒に考える

報告会の開催

飯舘村の方々をお招きして東京で年2回報告会を開催し、都市の住民と被災者が意見を交換する場としてきました。飯舘村地区住民総会などの機会を活用して活動の成果を村民に報告しています。2015年には福島市内で報告会を開催しました。

スタディツアーやジャーナリストの受入れ

大学生、社会人、留学生などのスタディツアーや内外のジャーナリストを受入れ、村内の視察・村民との交流・現地のボランティア活動への参加などを通じて被災の実態を伝えています。霊山センターを運営してこうした方々の宿泊も受け入れています。
› 海外メディアの取材受付状況(2015年3月現在)

8.地域や個人が考える将来像を一緒に実現する

行政地区の農業復興にむけた協定の締結

ふくしま再生の会、東京大学「福島復興農業工学会議」、飯舘村の行政区の3者間で地域の農業復興にむけ連携・協力する協定を締結しています。現在協定を締結している行政区は、佐須行政区と関根・松塚行政区です。

小宮の農家が考えるマキバノハナゾノ計画に協力

農地を四季折々に花の咲く里にしたいという小宮の農家の希望を実現するためのお手伝いをしています。2014年の4月には学生たちが多数参加した桜の植樹会を開催しました。

村内の放射線量が比較的高い地域の農家と協力

村内でも比較的放射線量が高い地域は、帰村の見通しが特に立てにくい状況です。再生の会ではこれらの地域の農家と協力して、イグネの樹木の調査や放射線の遮蔽実験などを行っています。

山津見神社天井絵復元プロジェクト

2013年4月1日未明の火災で焼失してしまった山津見神社拝殿の天井絵(オオカミ絵)の復元プロジェクトに協力しています。

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