飯舘のエアロゾルにもがれき処理の影響?
報告:土器屋由紀子
朝日新聞2014年7月15日朝刊37面に「がれき撤去で飛散、東電陳謝、南相馬市長「抗議する」」および16日の朝刊1面のトップに「50キロ先住宅地にも粉じん:原発がれき撤去セシウム6倍:昨夏京大調査」という記事が出ています。
「がれき撤去で飛散、コメ汚染 福島第一の20キロ先」
http://www.asahi.com/articles/ASG7F4JF9G7FUUPI005.html
「50キロ先、住宅地にも粉じん 福島第一原発がれき撤去」
http://www.asahi.com/articles/ASG7H5SVWG7HUUPI00C.html
2013年8月の東電・福島第一原発内でのがれき処理の影響について京都大学大学院の小泉昭夫教授らのグループは大気粉塵の測定を行い、セシウム濃度として、南相馬市で20-30倍、相馬市で6倍の濃度を示したと報告しています。
私たち、ふくしま再生の会でも国立環境研の協力を得て、飯舘村の佐須と役場(伊丹沢)で大気粉塵(エアロゾル)の放射能を2012年から連続的に測定していますが、そのデータを見ると、両地点のエアロゾルの試料の放射性セシウムは、8月19日を含む週は他の週の3~4倍の濃度を示しています。
両地点ともに上がっているということは局地的なものではなく(同年4月の役所の高濃度は、コンクリートをはがして行われた除染の影響と思われます。このときは佐須では高濃度を示しませんでした)このころ何かあったのかと思っていましたが、南相馬や丸森ほどはっきりした傾向は出ませんでした。新聞記事にはSPEEDI(放射性物質拡散予測)による汚染地図も示されていますが、高濃度の中心部分だけが図示され周辺の値は示されていません。
この新聞記事を読んで、飯舘村もこの広域的な汚染の西の端の部分に当たり、若干の影響を受けていることが分かりました。東電は一応、南相馬市長には謝ったようですが今後のがれき処理を続けるという報道もあります。なお、この記事の図には福島県、南相馬市の稲作に基準値以上のセシウム濃度が検出された地点が同時に示されています。土壌汚染の実態や、ホットスポットの詳細なども示してほしいと思います。
いま、住民の帰還に向けて住居や農地の除染が行われています。稲作を続けようとしている農家では、それこそ血の出るような努力が払われているところに、このような汚染が加わることは許されるものではありません。発生した当事者が自ら公表しない限り、汚染源を特定することは困難です。がれき処理に関する正確なデータの開示と国と東京電力のデータの速やかな公開を強く要請したいと思います。