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ふくしま再生の会

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若者の力、シニアの経験を世界の被災地「ふくしま」へ

ふくしま再生の会

<活動報告>

2011年9月

9月4日

午前中、8月末に引き込まれていた光回線にサーバーと無線ルーターを接続。放射線計測データは、docomo回線を経由してほぼリアルタイムにこのサーバーに集約される。計測データを即座に公開していくためのインフラとなるサーバー。

午後、飯野町にある飯舘村役場飯野出張所を訪問。村長に面会し、いままでの活動内容の報告。

自然と生活の再生に集う「ふくしま再生の会」活動状況(PDF 1.6MB)
飯舘村空間線量分布(2011年8月)(PDF 9.7MB)

(報告:小川)

9月18日~9月19日

8時50分東京駅に5名(田尾、横田、土器屋、矢野、小川)集合。9時の新幹線(やまびこ)自由席で福島へ。
10時37分着。福島駅で佐々木氏合流。レンタカーを借り、スーパーで食品買出し(コテージ宿泊のため)。各自に積算線量計配布0.000mSvに調整(以下カッコ内太字の数字は積算線量計の値mSv)。

途中ゼオライト購入、
0.001)ソフトクリーム屋に立ち寄って、
(13時ごろ:0.001)飯舘の菅野宗夫氏宅着、昼食。打ち合わせ。
(14時:0.002)出発、山津見神社へ。
神社は清掃が行き届いており、宮司さんの息子さんの案内で裏山の入り口まで。

山津見神社本殿への道(クリックで拡大)

神社周辺計測:3.7μSv/h。
裏山を約30分、本殿へ行く分基点(手水)まで登る(0.003)。
参道のみ神社の所有で回りは国有林(虎捕国有林:原町営林署)。

枯葉を集めて測定:6.70μSv/h
手水の周り:3.25μSv/h
落ち葉:4.5μSv/h
キノコ(途中で集めたもの):3.4μSv/h

(16時15分:0.006)相馬市から大石ゆい子さんほか1名、計測器を持って到着。
見守り隊として来られた宗夫さん、永徳さんが合流。神社の宮司夫人を交えて歓談。お茶の接待。室内は2μSv/h以下。

18時ごろ、伊達市・霊山紅彩館(ホテル)着。
(20時:0.008)コテージ「どんぐり」へ。ここで三吉氏合流。夕食準備。
(21時:0.009)佐々木氏が帰るため田尾氏が福島まで送る。
(23時:0.010

9月18日、6時起床(0.014)。
朝食。お弁当を作って、7時30分出発、永徳氏宅に寄って鍵を受け取る(測定器を置かせてもらうため)。
(8時10分:0.015)宗夫氏宅着。パソコン調整。
(8時40分:0.016)宗夫氏と打ち合わせ、ガイドヘルパーの話(三吉氏)。
10時~12時、宗夫氏提供の牧草地のソルガムを見に行く。7月末に植えたところは殆ど雑草に埋もれて消えている。

牧草地の表面線量は4.25μSv/h(入り口)。

表土除去した地面の測定(クリックで拡大)
雑草を堆肥化して減量(クリックで拡大)

表面を取り除いて裸地にした半径2m程度の円形部分の線量測定

中央の地表面:1.46μSv/h
1.2mの高さ:3.15μSv/h(周りからの影響)
取り除いた草を積み上げた部分(土と根):7.9μSv/h

(11時20分:0.018

住宅付近の線量

牛舎内部:2.0μSv/h
空間:3.72μSv/h
水路に入れた活性炭:3.0μSv/h
ゼオライト:3.35μSv/h
地面:3.39μSv/h

新潟県警の車が来て、若い警官3名に身元証明を求められる(先週までいた宮崎県警の人とは顔見知りになっていたが、新しく来た人たちとのこと)。

12時まで畑の除草(元水田にソルガムが生育している)。
(12時30分:0.020)昼食
(13時40分:0.021
(14時30分:0.021
田尾、矢野、三吉、横田は飯舘村の上の畑の見学へ。土器屋は室内で休養。

(15時40分:0.022
16時ごろ宗夫氏と別れて、永徳氏宅へ行き、納屋2階に測定器設置。
(16時40分、0.023
18時18分の新幹線(やまびこ)で帰路に。

図1 経過時間と放射線量
(積算線量計のデータから図示。精度の高い線量計のデータよりやや低めに出る傾向がある)

今後に向けての提案

  1. 神社の例祭(11月9-11日、例年1000人規模で集まるお祭りである)に向けて神社の周辺だけでも除染できないか。そのためには山林の落ち葉の処理が必要。
  2. 農水省が指導して行ったヒマワリ畑は殆どCs-137を吸収しないことがわかり、失敗を認めたとのこと。ソルガムもバイオレメディエーション植物としては期待薄であるが、とりあえず収穫して、測定しその後にも冬育つものを植える予定。
  3. 宗夫氏の裏山の除染のために農薬(比較的安全な枯葉剤)を使って落ち葉にして回収できないかの検討。上手くいけば神社裏の山林に応用する。
  4. 表層土剥ぎ取りに粘着性のシートを使う方法の検討。宗夫氏の牧場でやる可能性?

飯舘村の現状ほか

のどかな農村であるが、6月に行った時よりは廃屋や耕作放棄地が目立ち、荒れはじめている感じを受けた。
飯舘村は住民約6000人の殆どが避難しており、地区ごとに数名が交代で「見守り隊」を組織して見回っている。
特養ホームに100人ほどのお年寄り、とそれをケアする人が周辺の避難地域から通勤。特別許可された工場とその従業員という現状。
相馬、南相馬、川俣、伊達で夫々除染の目的が違う。乳幼児がいるところでは最優先、次に保育所、学校、住宅となり、裏山までは手が回らない現状。
山林の除染は殆ど手が付けられていないが、「水源」である飯舘村をそのままにして置いてよいのかという議論もある。

測定線量(PDF 101KB)

(土器屋氏作成メモを元に小川が構成)


9月23日~9月25日

採草地の除草(クリックで拡大)
採草地の地表線量測定(クリックで拡大)
肥料(クリックで拡大)
採草地の畝切り(クリックで拡大)
畑の種蒔(クリックで拡大)

今回は、連休を利用した農地除染実証実験における作業の一回めの山場。
全体を通すと2泊3日となるが、前半だけの参加者、後半だけの参加者が多く、通しての参加は7名ほど、延べでは30人ほどの参加が得られた。
今回の計画された作業は以下の通り。

  1. ソルガムの刈り取り
    8月に採草地と畑の2か所に播種したソルガム(つちたろう)を刈り取る。ソルガムは土中のセシウムを取り込む性質が強い(移行係数が大きい)と言われており、かつ収穫量(マス)も大きいので、植物による農地の除染効果を検証する目的で植えられた。
    植物による除染ではひまわりが有名だが、飯舘村で文科省が行ったひまわりによる除染実験では効果は低いことが確認された。ソルガムによる除染効果も、当初からそれほど大きなものではないと予想されたが、ひまわりだけでなく、他の植物による効果も検証していく意味はあると考え実施された。
    残念ながら採草地のソルガムは雑草に負けて芽が出なかったが、畑に植えたソルガムは何とか生育した。刈り取ったソルガムと土壌サンプルを分析する。
  2. 秋冬作物の播種
  3. ソルガムを刈り取った畑と、失敗した採草地にあらたに5m四方の区画をそれぞれ24区画(合計48区画)作り、ナタネ、イタリアンライグラスを植える。
    各区画では植物と肥料の組み合わせを変えて、肥料と植物の掛け合わせによってセシウムが土中から植物へ移行する傾向の変化を確認する。
    今回の実験は、植物による除染(土中からできるだけ多くのセシウムを植物へ移行させる)だけでなく、逆に汚染土壌からいかにセシウムを取り込まないようにできるかという実験も兼ねる。
    仮に農地の除染が進み、セシウムを含まない作物を栽培できるようになったとしても、こうした土壌で栽培した作物が食品として消費者に受け入れられるかというと、かなり難しいことも予想される。
    産業としての農業の再生を考えると、食品だけでなくたとえばバイオ燃料などの生産品を栽培するという実験を行っておくことも無駄ではないはずだ。今回の実証実験では、その目的も視野に置いている。
    狛犬は狼(クリックで拡大)
    山頂の本殿(クリックで拡大)
  4. 神社の放射線測定
    飯舘村佐須地区には山の神として全国的にも有名な山津見神社がある。
    山津見神社は、農地と同じレベルの高さに拝殿や社務所などがあり、その背景に山が控えている。山の頂には本殿が祀られている。
    山の斜面は南側を向いており、福島第一原発からの風を受ける向きになっているためと思われるが、周囲に比較するとやや線量が高い(山道の空間線量はだいたい3.5~4.5μSv/h程度の範囲)。
    こうした地形的な特徴は、山間にある民家のモデルとして好適と考えられ、将来除染が行われた場合の基礎資料として周辺の線量を精密に測定しておくことは重要と考えられる。
    こうした背景から、参道、社務所前、拝殿付近、駐車場、拝殿の奥の森林、本殿へ至る参道(山道)の測定を行った。

「おくちゃんさんの日記」※などを元に小川が構成)
※閲覧するにはmixiのIDが必要です。


9月29日

トラックローダー(クリックで拡大)
吸引口(クリックで拡大)
回収用の袋(クリックで拡大)
袋詰め作業(クリックで拡大)

落ち葉吸引作戦

本サイトの活動報告でも繰り返し述べられているように、飯舘村の面積は230km2。そのうち75%が山林である。村内には市街地も存在するが、多くの民家が山間地にある。
ガンマ線は200~300mは飛ぶと言われている。文字通り山の斜「面」全体が線源となって飛んでくるガンマ線は、市街地のホットスポットのような点線源とは異なり、距離の逆二乗では弱まらず、付近の空間線量に大きな影響を与えている。
しかも、雨や風など気候の影響を考えると、山に放射性物質が残っている限り、それらがいずれ住宅地や市街地に移行していかないという保証はない。また、水系を考えれば、飯舘村は相馬市の水源にあたる地域でもある。山間地に蓄積している放射性物質が下流に移行しないかという懸念も拭えない。
飯舘村の除染のカギは山林にあると言っても過言ではない。

しかし、その広大さと作業の困難さゆえに、行政も専門家も思考停止に陥り「山林の除染は不可能」という結論から先へ進めていないように見える。
当会では、以前から山林の除染の実証実験を重要な課題と考えており、最初の調査においても山林の放射線量測定を行っている。
そうした予備調査の結果、広葉樹林では落ち葉(3月15日ごろには葉は芽吹いておらず、落ち葉が堆積していた)に多くのセシウムが吸着しており、針葉樹林では季節的な落葉がないので木の上の方にある葉や樹皮に吸着していると推測される。
広葉樹林の落ち葉の除去については、一人ひとりシャベルで袋詰めするという方法や(この方法で工数見積すると、一人一日100m2の除去が可能と仮定して単純計算すると190万人・日。1日1,000人で365日作業したとして、5年あまりという計算)、大型の掃除機で落ち葉を吸い込むという方法などが構想された。
広葉樹林で、次の落ち葉が落ち、そこに雪が降り積もる前に一度でも実験を行っておきたい。実験の実施が急がれた。
落ち葉を吸引するのに適した吸引器(バキューム)を探し求めた結果、トラックローダーという吸引器があることがわかり、小規模な実験には最適と思われた。松戸市にある輸入業者のご厚意で、トラックローダーを実験用にお借りできることになり、落ち葉の吸引実験を行うことになった。

今回は、まずは現地にトラックローダーを持ち込み、動作テストを行った。その結果、十分に動作することが確認できた。

落ち葉吸引前後の線量変化(PDF 117KB)

(田尾氏のレポートを元に小川が構成)

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